できる人が実践する「読まれる」ための工夫 - “Eメール”コミュニケーション術④

仕事のできる人はメールの「件名」でわかる!

せっかく工夫を凝らし、丁寧に読み返して推敲したメールでも、相手に読んでもらえなければ意味がありません。メールにしても、企画書、報告書にしても、ビジネス文書は「伝わって初めて意味がある」のです。
忙しい相手になるべく早く読んでもらうためには、「件名」そして「送信者の名前」が重要。それぞれのポイントを整理しておきましょう。

■件名

 メールを速やかに開封してもらうためには、何よりも「件名」が重要です。忙しい人にとっては「読む/捨てる」の判断材料。具体的に分かりやすく、同時にダラダラと長くならないように工夫しましょう。

×「お知らせ」→○「本日13時~部門別予算会議の件」など具体的に。
×「7月30日にご依頼の見積書をお届けしたいのですが」→○「見積書(7/30ご依頼)お届けの件」などコンパクトに。

【お願い】【ご報告】【重要】など、記号を使って一部を強調するアイデアも有効です。たとえば「【重要】本日13時~部門別予算会議の件」などとし、相手の目に留まりやすいようにします。
 また、初めてメールを送る場合であれば、たとえば「初めまして。アビット株式会社 浅川と申します」と件名であいさつをしてしまう方法もあります。

■送信者名

 相手のメールソフトの「受信メール」の欄に、件名と並んで(通常左側に)表示される名前です。ここがローマ字表記だったり、姓名のどちらかがイニシャル表記だったりしては、パッと見て誰からのメールなのかが分かりません。読み手の立場に立って、分かりやすい表記を心がけるのが気配りですね。
 通常は、会社名とフルネーム(日本語表記)を用います。私であれば「アビット株式会社・浅川洋子」などとします。

「cc」「bcc」との上手な付き合い方

 メールの持ち味のひとつは、情報共有のしやすさ。そのための機能を果たすのが、ご存じ「cc」と「bcc」ですね。どちらも「同報」の機能を持つのですが、「cc」の受信者は他の受信者の名前、メールアドレスを見ることができる。「bcc」の受信者は見ることができないという大きな違いがあります。
 ですから、個人情報を保護するため「bcc」で同送すべきところを、誤って「cc」で送ってしまう――という事態は、何としても避けなければなりません。また万が一起きてしまった場合は、速やかに上司に報告のうえトラブルに対処する必要があるのです。

 さらにこの「cc」の使い方で注意が必要なのは、「報告」や「情報共有」の必要が高くないものにまで、安易に「cc」を付けてしまうこと。ただでさえ行き交うメールの量が増えている中で、不必要なものに「cc」を付けて受信先を増やす行為は、自ら「社内の迷惑メール発生源」になることを意味します。
 これを続けていきますと、やがて「○○のメールは余計なccばかり」と見られるようになり、肝心なメールを読んでもらえなくなるという悪循環に陥ってしまうことにもなるのです。

メールだからといって「いつ送信でも同じ」ではない!

電話とメールとを比較した場合、それぞれにメリットとデメリットがあることはご存じのとおりです。電話のメリットは、ほぼリアルタイムで「声」を使ったやり取りができること。いっぽう、特に最近(メールと比較して)指摘されるようになったデメリットは「相手の仕事の優先順位に無理やり割り込む」こと――。手軽な通信手段がほかになかった時代には、あまりこの点が強調されることはなかったと記憶しています。
これに対してメールの持ち味のひとつとして挙げられるのが、「相手の仕事の優先順位に割り込まない」こと。受信者は都合のよいときに読めるという点です。コミュニケーションの様相自体が大きく変化したと感じます。

「相手の都合で読むメールだから、いつ送っても同じか?」というと、明らかに違いますね。やはり開封されやすい時間を考える必要があるのです。
たとえば週明けの午前中。メールボックスの中は、週末の間に届いたメールで混みあっていることでしょう。こんな時間にあなたのメールが届いていたとしても、なかなか順番が回ってこないかもしれません。では、終業時刻の間際はどうでしょう。常識的に考えれば、あまりじっくりメールをチェックする時間ではなさそうですね。
会社ではバタバタして落ち着かないので、週末に自宅でじっくりとメールを書いて送っておく――。この作戦は効率的なように見えて、実は週明け午前の混雑したメールボックスに自ら突っ込んでいくようなもの。あまりオススメできません。
 メールを送るタイミングには、それなりの工夫とリサーチが必要――。たとえば、その相手から「届くメール」は何時ごろが多いのか、曜日はどうか。これらがつかめれば、相手がメールチェックをする確率の高い時間を割り出せるかもしれませんね。

「開封確認」は別の方法で

多くのメールソフトには、送信したメールを相手が開封したかどうかを知るための「開封確認機能」があるのはご存じのとおりです。実際に使っているという方もいらっしゃることでしょう。ところが、この機能はあまり評判がよくありません。
「メッセージの送信者は開封確認を要求しています。開封確認のメッセージを送信しますか? はい/いいえ」というような、ある種の“上から目線”を感じさせる表記。加えて、「監視されている」「追跡されている」ような圧迫感を覚える方もいるようです。
特に目上の人やお客様には、「要求しています」などの表示が届くこと自体、失礼にあたると考えるべきですね。
 メールが正しく届いたかどうかは、別メールまたは迷惑にならない時間の電話で確認するようにしましょう。