乗り物内では「公共の場所」という意識で - ビジネスマナーの新常識②

常に「見られている」という自覚が大切

私たちが社会人、あるいはビジネスパーソンとして自覚したいことのひとつに、「一歩家を出たら、常に見られていることを意識する」があります。自分の発言、行動などを常に「相手の立場に立ったときにどう見えるか?」というフィルターを通してチェックするのです。
 さまざまなシーンや状況に応じマナーを身につけていくことは大切ですが、それらはすべて「相手の立場に立ったときにどう見えるか?」が基準になっていると言ってもいいでしょう。

ある日、あなたが家を出て会社に向かうとします。ここからは常に「見られている意識」が必要ですね。もともと朝が弱いタイプとか、昨夜は遅くまで残業だったとか、デート、飲み会などなど事情はあると思いますが、玄関を一歩出たら「仕事モード」に切り替えるわけです。
家を出れば、そこは公共の場。ご近所の方に会ったら、「おはようございます」の挨拶がきちんとできるくらいに、気持ちを整えてから家を出るようにしましょう。

 最寄駅から電車に乗って、会社へと向かいます。ここでもいくつかのチェックポイントが待ち構えています。
・電車などの乗り物の中でのメイク
・通勤時間の乗り物内での飲食
 これらの「よい/悪い」については、この本で改めてお伝えするまでもないでしょう。「相手の立場に立ったときにどう見えるか?」というモノサシで測れば、自ずと答えが出ることですね。

洗練されたハンカチ使いで「できる人」に!

 世の中の常識は時代とともに移り変わるものですが、外出時に「ハンカチを持たない」という人はいないでしょう(少~し心配ですが)。
 外出するとき、私は3種類のハンカチを持ち歩きます。
・手をふくハンカチ
・手をふく以外に使う、いわば多目的なハンカチ
・ひざ掛けになる大判のハンカチ
 電車に乗って席に座るときには、たとえパンツスーツを着ているときでも膝の上には大判のハンカチをかけるのです。これも同じく「見られている意識」ですね。
 美しい脚を「ご覧ください!」とばかりに投げ出している姿をときおり見かけますが、女性の私が見ても“目のやり場に困る”思いがします。たとえ「膝頭を付けている」にしても、その上に一枚のハンカチをかけることは女性のマナー。外出先でソファーに座る際などにもぜひ実行してみてください。
こうしたことがさりげなくできる人は、お客様はもちろん上司や同僚にも「相手への気遣いができる人」という印象を残します。

 電車やバスでは、つり革の持ち方でもその人の気配り、気働きを感じさせることができます。
 座っている人の顔に手のひらを向けるようにつり革を持つ女性は、仮にシャツを着ていたとしても、マナー違反にあたると私は思っています。ノースリーブの季節なら「もってのほか!」ですよ。
つり革の輪の手前側から手をかけるのではなく、輪の向こう側から自分のほうに向かって手をかける。手のひらを裏返して、向こう側から手を入れる要領で持つようにするのです。こうして目の前の人に手の甲を向けるようにすると、とても美しく見えます。これも簡単ですぐにできる気配りですね。

交通トラブル対策も仕事のうち

 最後に、電車を利用する際に便利なアイデアをご紹介しましょう。皆さんは、日頃こんなことを考えていませんか?
「途中駅止まりの電車を見送り、目的地まで行く次の電車に乗ろう」
「1本待って、次の始発に乗ろう」
 プライベートであれば、これでもOK。しかし仕事で動くのならば、「先発の電車で行けるところまで行っておく」が基本です。その1本を見送ったばかりに、以降の電車が事故で動かなくなるというケースを想定しておくのです。
私自身、これで何度か後悔した経験があります。少しでも目的地に近づいておけば、「トラブル発生時の選択肢を増やせる」のです。
「Yahoo! 運行情報メール」など、交通機関の運行状況をメールで知らせてくれるサービスもあります。「運転見合わせ」の情報をいち早くキャッチして他の路線を利用するなど、賢く使いこなしましょう。