顧客訪問時のピンチをチャンスに! - ビジネスマナーの新常識⑥

“10分前に着けば余裕”という落とし穴!?

 社会人、ビジネスパーソンとして身につけておきたいことのひとつに、お客様や営業先などを訪問する際のマナーがあります。
最近ではどこを訪ねても、セキュリティー対策、個人情報の保護対策などが一時代前とは比較にならないくらい進んでいることを実感します。受付で二次元バーコードの発行を受けたり、ゲスト用のネームプレートの交付を受けたりと、思ったよりも時間がかかり、肝心のミーティングに遅刻――。これでは、ビジネスパーソンとして失格ですね。
初めて訪問するところであれば、私は30分前には現地に到着するようにしています。また、特に重要と判断したときには、「最寄駅に60分前」というスケジュールを組むこともあります。それだけの余裕をみておけば、仮に電車が事故で運転見合わせとなってしまっても、他の路線で向かう、バスやタクシーに切り替えるなどの危機回避策を取ることができるからです。

早く着いて出来た時間は、トイレで身支度を整える(夏場は特に重要です)、打ち合わせ内容を確認するなどに充て、心身ともに十分なゆとりをもって“本番”に臨むようにします。もちろん入館手続きなども、これならば余裕ですね!
セキュリティーが厳しいビル内では、打ち合わせなどの途中でトイレに行く際、先方の方に「同行していただく」ケースがあります。なるべくそういう事態を招かないよう、この時間を有効に活用しましょう。
意外な盲点になりやすいのが、エレベーター前の大行列。始業時刻や昼休みの終わる時刻近辺のアポイントの場合には、1Fのロビーで待つのではなく、目的のフロアで直前の時間調整をしましょう。

打ち合わせ中にノドがカラカラ。さてどうする?

 時代とともに変わったことのひとつに、訪問時の「お茶」があります。コストの面に加え、男女の役割分担への配慮もあるのでしょう。打ち合わせなどで訪問した際に飲み物が出てこないところがだいぶ増えてきたようです。会社によっては、男性スタッフの方が慣れない手つきで“茶たくをカタカタ鳴らしながら”運んでくださることもあって、かえって恐縮してしまいます。
 あなたが打ち合わせに出向き、お茶が出てこないとしましょう。熱心に話せば話すほど、ノドも乾いてきます。バッグの中には途中の駅で買ったペットボトル入りのお茶――。さて、どうされますか?
 先方の目の前でバッグから取り出すと、「お茶の催促」「相手への皮肉」とも受け止められてしまいそうですね。こんなときには、
「私、今日ノドの調子が少し悪いものですから」
「ノドがいがらっぽく、お聞き苦しいと恐縮ですので」
などと“自分のせい”にしながら「失礼します」と、ペットボトルを取り出しましょう。そのひと言によって、相手に与える印象を和らげることができるのです。
相手の負担にならないように、自分のせいにする――。小さなことですが、これも立派な気くばり、気働きです。
ノドを潤す際には、やはり「失礼します」と、さりげなく後ろを向くなどの配慮が必要です。正面にいる相手にボトルの底が見えるような飲み方はオススメできません。人としての品性を疑われてしまいます!

 商談、お詫びなど、こちらが「頭を下げる」ような状況では、仮にバッグにペットボトルが入っていたとしても、キャップを取ってゴクゴク――は、真剣さを欠いた、失礼な態度。「緊張感がなさすぎる」と判断されてしまいます。
 大事な場面では、ノドがカラカラに乾くことがよくありますね。とはいえ、あくまでも「相手がどう感じるか」を考え、ふるまうようにしましょう。

 訪問先ではガードマンの方にきちんと挨拶をしたり、受付の方に対して丁寧なやり取りを心掛けたりするなど、よい印象を残すことをぜひ実行していきましょう。そうした地道な行動が、巡りめぐって相手の耳に届くこともあるのです。