【コラム】雑談力を身に付けるコツ(後編)

会話の苦手な方は相手の話に対して「文章」で理解しようとします。
相手が話した内容を「文章まるごと」受け取り、それを自分の中で噛み砕いて、その要旨を理解し、それに対してどのようなコメントをするのか考え、どう話せばわかりやすいかを整えて、話し始めます。
生真面目な方ほどこのプロセスで行動します。しかし、この手順は見てもわかる通りとても手間と時間がかかるものです。だから、コメントが出来上がった事には会話の流れは次の話題に移ってしまっているのです。
たとえば、仕事でプロジェクトの内容を吟味するのなら、それくらい慎重でいいと思います。いや、むしろそれくらい慎重でなければいけません。

具体的には相手の話を聞きながら「この話を一語でまとめるとしたら、どの単語かな?」と意識して聞きます。
いわゆるキーワード探しですよね。そのキーワードから、今度は連想ゲームの要領で思いつくものをイメージします。
そうすると短時間で感想や話の次の展開となるワードが出てきやすくなります。
文章で理解していると、この連想ゲームが非常にやりにくくなるのです。
少し例を出してみましょう。

「おばあちゃんが孫にせがまれてディズニーランドに行ったんだけど、あちこちのアトラクションを廻った結果、くたくたに疲れてしまったんだ」と言えば?

さあ、どうでしょう? 瞬時に他の事柄が連想できたでしょうか?
なかなか難しかったのではないかと思います。では、これならどうでしょう?

「ディズニーランド」と言えば?

楽しい。ミッキー。パレード。家族と行った思い出。初めてのデートの場所。ポップコーン。ビッグサンダーマウンテン。シンデレラ城……。
色々と連想できるのではないでしょうか。

「孫」と言えば?
「疲れた」と言えば?

同じく色々なイメージがうかんできたのではないかと思います。しかも、割と短時間で。
そうなんです。会話のコツは受けたボールを早めに投げ返すことなのです。
将棋のように長考してしまうと相手は「返事がない=この話題に関心がない」と思ってしまうこともあるのです。

講師 桑山 元